今年もイギリスの経済誌The Economistによって、ビッグマック指数が発表されていました。
意外に思う人も多いかもしれませんが、この数字を見る限りは、日本の物価は諸外国と比べてとても低いんです。
The Economistによるビッグマック指数
ビッグマック指数 (Big Mac Index)とは、イギリスの経済誌The Economistによって提案された各国の為替の適性度を図る指標で、その名の通りマクドナルドのビッグマックの値段が基準になっています。
通貨単位を揃えて、各国のビックマックの値段を比べてみましょうというのが、ベースとなるアイデアです。
もともとは、ハンバーガーの品質には国による大差がないはずなので、適正な為替であれば、各国で同じ値段がつくはずだということが前提になっています。
実際には、原価、人件費や店舗運営費なども各国で違うので、この数字だけで議論することはできないのですが、その分かりやすさから、経済に関する多くの記事や本で目にする数字です。
この指数の名前は聞いたことがあるという人が多いんじゃないかと思います。
2015年のビッグマック指数は?
このビッグマック指数はThe Economistが1986年から毎年発表しているのですが、まずは直近の2015年のデータから見ていきましょう。
トップはスイス、北欧
下の図は、The Economistの「The Big Mac index, Global exchange rates, to go」という記事にある各国のビッグマック1個のドル換算値を、分かりやすいように日本円になおしたものです。レートは記事内にあった128.03円/ドルを使っています。
まず言えるのはスイスと北欧が非常に強いということです。
これらの国の物価の高さはもともと大変有名ですが、スイスではビッグマック1個で900円という驚きの値段です。
バーガー1個で900円て!
そりゃあ日本と時給を比較できないわけです。
4番手にブラジルが来ているのに驚いた人もいるかもしれません。BRICsという言葉ができてから10年以上たっていますが、その間着実に経済成長を果たしているんでしょう。
日本の順位は56ヵ国中38位
さて、気になる日本ですが、調査対象の56ヵ国中38番手です。タイ、中国とほとんど変わないレベルです。あのギリシャよりも安いんです。
これは多くの人にとって結構意外な結果なんじゃないかと思います。
日本の物価は世界的にみても最高レベルだと思っている日本人も多い気がします。また、日本に来たことのない外国人と話をすると、日本、特に東京の物価は世界一高いと思っている人が結構います。
もちろん、日本のマックは激しい価格競争にさらされていることもあるので、ビッグマックの値段だけで評価することはできません。
ただ、現在イギリスに住んでいて、ヨーロッパにもしばしば足を運ぶ僕の感覚では、このビッグマック指数の結果は、それなりに実態を表している部分もあります。
特に、ロンドンに住む外国人に「東京の物価って高いんだろ?」なんて言われたくありません。
10年前(2005年)のビッグマック指数は?
さて、The Economistの記事では、過去のデータ(2000年以降)もダウンロードできるようになっています。
やっぱり強い北欧とスイス
比較のため、10年前の2005年のデータも同じようにグラフにしてみました。こちらも、記事内にあった当時のレート106.72円/ドルを使って日本円に換算して表しています。
まず、言えるのは、ノルウエー、デンマーク、スウェーデンの北欧3カ国とスイスは昔から強いというか、高いですね。ただ、直近の2015年の方が、値段の高い国と安い国と差がより一層大きくなっています。
そして、2005年のデータでは、調査対象中ビッグマックがもっとも安いのは中国でした。この10年でどれだけ経済成長を遂げたたのかは、こんなところでも見て取ることができます。
日本はやっぱり真ん中
また、2015年に世界第4位だったブラジルは、2005年には43ヵ国中21位でした。やはりブラジルもこの10年で大躍進しているんですね。
肝心の日本ですが、ブラジルの2つ下、43ヵ国中23番手ということで、ほぼ真ん中です。全体の中でのポジションはこの10年であまり変わっていないのかもしれません。
関連サイト(英語): The Big Mac index, Global exchange rates, to go (The Economist)
ラーメン指数?
さて、このビッグマック指数と類似の指数としては、ラテの値段を基準にしたスターバックス指数などがあり、ビッグマック指数とは傾向が微妙に異なっています。
ただし、スターバックス指数は古いデータしか見つからなかったので、最近では発表されていないのかもしれません。
他には、The Wall Street Journalがスターバックス指数と似たような指数を数年前に出していますが、こちらも現在どうなっているのかはちょっと分かりません。
最近では世界各国でラーメンが食べられるようになってきたので、いつかトンコツ指数なんてものができるかもしれません。ロンドンやパリの一風堂が一杯2000円することを考えると、日本のトンコツ指数はかなり低い値になりそうです。