今回は『Watching the English』という本を紹介します。ここでいう『the English』は、英語のことではなくイングランド人を意味しています。イングランド人を含むイギリス人の性格、特徴について、ユーモアを交えつつ、且つ結構まじめに考察している本です。
日本語のいわいる「イギリス人」という呼び方は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国に住むイングランド人、スコットランド人、ウェールズ人、ならびに北アイルランド人をまとめて言う際に使われることが多いようで、本記事でもその意味で書いています。
2005年に出たベストセラーの改訂版
『Watching the English』は、ケイト・フォックス (Kate Fox)によって2005年に出された同名のベストセラーをベースに、彼女自身によって最近の事情などが加筆されたアップデート版です。改訂版の本書は、2014年に出版されました。
この本では、色々なトピックについて、イギリス人の特徴が記されています。そのトピックは、以下のように構成されています。
Part One: Conversation Codes
- The Weather
- Grooming-talk
- Humour Rules
- Liguistic Class Codes
- Emerging Talk-rules: The Mobile Phone
- Pub-talk
- Racing Talk
- Squaddie-Talk and Two Types of Rider-Talk
Part Two: Behaviour Codes
- Home Rules
- Rules of the Road
- Work to Rule
- Rules of Play
- Dress Codes
- Food Rules
- Rules of Sex
- Rites of Passage
イギリス人と言えば天気の話は本当か?
この本の一番最初のトピックはThe weatherです。イングランド人がよく天気の話をするというのは聞いたことがある人も多いんじゃないかと思います。なぜ彼らは天気の話が好きなのかが書かれています。
この本を読むと分かるのは、彼らは別に天気の話が好きなわけじゃないんです。
いろいろな会話を楽しみたいと思いつつも、あまりよく知らない相手に不躾なことを聞くのは失礼だと遠慮したり、相手が興味をもつ話題を提供できるかに自信がなかったり、政治、宗教、人種などのタブーに触れてしまわないか不安だったり、といった具合に色々悩んだ結果、一番無難な天気を話題に会話をスタートさせるというのが実際のようです。
言ってみたら、「考えすぎ芸人」なんですね。
また、イギリス人は自国の天気を自虐的に話すことが多いのですが、非イギリス人がイギリスの天気を悪く言うことは許されません。
出来が悪いからこそ可愛いくて、自分の息子を「うちのバカ息子が、、、」と言っても、他人に我が子を悪く言われるのは許せないのと同じようなものだそうです。
ちなみに、雨が多いという印象が強いイギリスですが、実はロンドンの年間降水量は、東京の半分程度しかないんです。イメージっていうのは、おそろしいですね。
イギリス人の気質を知るのに最適
この本では、天気の他にも、挨拶の仕方、パブでの会話、食事に対する考えなど、彼らの国民性についていろいろな角度から触れられています。
著者の印象論だったり、おもしろおかしく誇張されている部分も多いんですが、イギリス人の根底にシャイネスがあるという主張は、僕自身、イギリスに住んでみて非常によく理解できます。
イギリス人は口数が少なく、感情をあまり表情に出さない人が多いので、なかなか何を考えているのか分からないこともありますが、この本のおかげで、それらがシャイで控えめな国民性に起因しているということが理解できました。
結構日本人に通じるところもあるような気がします。