企業がTOEICのスコアを学生の採用基準にするべきでない3つの理由

日本で英語のテストと言えば、かつては英検一択でしたが、ここ10年ほどはTOEICが幅を聞かせています。

TOEICが企業が学生を採用する時の基準や評価の1つになっていることが、巷にTOEIC受験者があふれる一因なのではないかと思います。

ただ、タイトルにも書いている通り、僕は企業がTOEICを学生の採用基準にすることに反対です。

今回の記事では、その3つの理由とさらにはTOEICに代わる学生の評価方法について書いてみます。

目次

そもそも英語が必要か?

先日、韓国人の友人と就職の話になりました。彼女の話によると、韓国で一流企業に入るには、かなりの英語力が要求されるようです。

そう言えば昔、サムソンやヒュンダイで働くにはTOEICで800点以上が必要といったニュースを読んだ記憶もあります。

ひるがえって日本はどうでしょうか。

800点とはいかないまでも、日本の大企業の中にはTOEICのスコアを採用基準、あるいは判断材料の1つにしているところが沢山あります。

グローバル化、グローバル化と叫ばれる中で、英語のできる学生を採りたいという会社が多いのかもしれません。

でも、そもそも日本の企業で働く上で、英語を使う機会ってどれくらいあるんでしょう。実際の会社の活動がほとんど国内にもかかわらず、学生に英語力を要求している企業も多いような気がします。

少なくとも、社員全員が英語力を必要とする会社は日本にそれほど多くないはずです。

贔屓目に見れば、今は国内マーケットに注力しているけれど、これから会社をグローバル化させる計画があって、それを担う人材が欲しいというケースが増えてきているのかもしれません。

ただ、そうだとしても、企業が学生を採用する上でTOEICのスコアを判断材料にするのは間違っています。

TOEICを使うべきではない3つの理由

TOEICスコアを学生を採用する時の判断基準として使うべきでない理由は3つあります。

TOEICでは企業が求める英語力を評価できない

1つ目の理由は、TOEICでは企業が求める英語力を評価できないことです。

TOEICの内訳はリーディングとリスニングです。これは英検やTOEFLなどと決定的に違う点です(実際にはTOEICにもスピーキングとライティングセクションがあるにはあるんですが、企業の採用基準としてはほとんど使われていません)。

リーディングとリスニングでいくら高スコアをとったとしても、実際に英語でやりとりする能力、特に英会話ができるかどうかは全く別の話です。

日本でTOEICを管理、運営している国際ビジネスコミュニケーション協会のサイトを見ると、TOEICのスコアとそのスコアでどんなことができるかの目安が書かれています。高得点レンジを見てみましょう。

TOEICスコア 900~990
  • 自分の専門分野の高度な専門書を読んで理解できる。
  • 英語を話す人達が行っている最近の出来事・事件についての議論を聞いて内容を理解することができる。
TOEICスコア 800~895
  • 英語で書かれたインターネットのページから、必要な情報・資料を探し収集できる。
  • 職場で発生した問題点について議論をしている同僚の話が理解できる。
TOEICスコア 700~795
  • 会議の案内等の社内文書・通達を、読んで理解できる。
  • 自分の仕事に関連した日常業務のやりかたについての説明を理解できる。

TOEICスコアとできることの目安(国際ビジネスコミュニケーション協会)

これを読めば一目瞭然ですが、一般的なTOEIC(リーディング、リスニング)では、基本的にはインプット能力しか測れないわけです。

でも、おそらく企業が求めているのは、むしろアウトプット能力です。海外に製品を営業したり、現地法人で外国人の従業員を指導したり。

つまり、仕事で要求される英語力とTOEICのスコアはそもそも評価されるべき対象が違うんです。

知性や努力の証拠にもならない

ネットを見ると、TOEICのスコアが学生の知性だったり、努力を間接的に示唆するものだという意見がありました。

これも筋の悪い議論なんじゃないかと思います。

TOEICの点数なんて、語学系学科を除けばおおよそ大学の偏差値に比例します。

基本的には受験勉強が得意な人が点をとれるテストです。

結局、学歴フィルター以上でも、以下でもありません

もし、お勉強が得意な学生を採りたいんであれば、大学の偏差値を基準にすればそれで十分です。

でも、その穴だらけのフィルターで優秀な学生取りこぼす可能性の方が企業にとって大きなデメリットのようにうつります。

日本中の学生の時間を無駄にする

以上の2点はどちらかというと企業にとってのデメリットですが、この制度は学生にとっても問題があります。

TOEICはテクニック、コツ、慣れで結構スコアが上がります。例えば、リスニングの問題が流れる前に選択肢に目を通すとか……。

多くの学生が、スコアを上げるためにこういったテクニックを磨いたり、何度も問題集を解いたりします。

これが実際の英語力アップに結びつけばいいですが、そうはなりません。英語力そのものを上げるやり方としては非常に効率の悪い方法です。

そんな暇があれば、オンライン英会話でもやった方がよっぽど英語でのコミュニケーション力アップに直結します。

TOEICのスコアを上げるために学生が無駄に費やす時間

これは個々の学生にとってははもちろんのこと、日本全体にとって非常に大きな不幸であり、損失です。

学生の英語力を評価したいなら

以上、TOEICのスコアを学生採用時に要求するべきではない理由を述べてきました。

それでは、実際に英語でのコミュニケーション能力の高い学生が欲しいという場合、学生をどのように評価をすればいいんでしょうか?

英検やTOEFLのようなテストを全員に受けさせるというのも今のところ現実的ではありません。

でも、簡単な方法があります。

学生を面接に呼んで、前日のニュースなどをお題にして英語でちょっとしたディスカッションすればいいんです。

4、5分もあれ十分です。

英語だけでなく、時事問題に対する関心や論理的に考える能力も一緒にチェックできて一石三鳥です。

TOEICよりはるかに正確に学生の英語力を確認することができます。

まとめ

ということで、TOEICなんかを採用基準にするのは、企業にとっても、学生にとっても、日本にとっても不幸なことなんです。

また、もし英語で仕事がこなせるような学生を採りたければには、上に書いたように面接での英語ディスカッションが一番だと思います。

え?

会社の中に面接に対応できる社員がいない?

 

てめぇができねーことを学生に要求するんじゃねえ!

 

英語ができて、コミュニケーション能力が高くて、論理的な思考ができて、自分から動けて、精神的にタフで……。そんなスーパーマンが社内にどれほどいますか?

これは組織論としてよく聞く話ですが、既存メンバーのレベルを大きく越えるようなメンバーは仲間にならないということです。まずは今いる社員の教育に力を入れるべきかもしれません。

本当は、学生に対して「TOEICの勉強なんかしないでもっと時間を有意義に使って」と言いたいんですが、現実にTOEICのスコアが評価される現実がある以上は、そうも言えません。

企業が少しでも変わってくれることを願いつつ。今日はここまで。See you later!

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