イタリアの「オレンジ祭り」を知っていますか?世界のユニークなお祭りの中でも、ひときわ目を引くオレンジ祭りは、毎年開催のたびに各国のテレビ番組で特集されるほどの注目度。楽しそうだけど、かなり風変わり!
そんなイタリアのオレンジ祭りについて、由来や歴史を見ていきましょう。参加したい人向けに、開催時期や参加方法についても解説します。
イタリアの「オレンジ祭り」とは?
イタリアのオレンジ祭りは、北部の都市「イブレア」で開催される伝統的なお祭りです。イタリア語で「Battaglia delle arance(バッターリァ デッレ アランチェ)」と呼ばれ、直訳すると「オレンジバトル」になります。
楽しそうなお祭りですが、実は深い歴史とイタリア市民の思いが込められた、伝統的なイベント。開催時期やルールなども厳密に定められていて、もはやただのお遊びではない行事になっていますよ。
開催時期は?
イタリアのオレンジ祭りは、3日間開催されます。オレンジ祭りは冬の恒例行事として知られていますが、毎年開催時期は変動します。通常、2月から3月の間に行われるそうです。開催時期は、イタリアのカーニバル時期に合わせてほかのイベント(パレードや飲食イベントなど)と一緒に行われるため、オレンジ祭りだけでなくカーニバル全体の雰囲気を楽しむこともできます。
オレンジ祭りの会場は5つの広場で、2006年に行われたトリノオリンピックの開催地・トリノから北東に50kmほどの場所だそうですよ。
何をする?
イタリアのオレンジ祭りは、簡単に言うと雪合戦のようにオレンジを投げ合うお祭りです。イブレアの市民が敵味方チームに分かれ、片方は貴族役、もう片方は市民役です。1,000人ほどの貴族チームはヘルメットなどの装備をし、馬車に乗って広場に登場します。市民チームは貴族よりも多い4,000人以上で構成されますが、貴族チームのような装備がありません。オレンジ祭りには審判も存在しており、オレンジを投げる量やかわし方などを細かくジャッジ。そして、3日目の最終日に勝利チームが決まるのです。
由来は?
イタリアのオレンジ祭りは、1200年頃の貴族vs市民の戦い「返り討ち事件」を伝えるために生まれたものだそうです。当時、非道なやり方で国民を支配していた領主が、強引に結婚を迫った女性から返り討ちにされ、首を取られてしまいました。この事件がきかっけで、市民が自由を求めて反乱を起こします。その事件を忘れないために、現在もオレンジ祭りという形で再現されているのだそうです。
もともと投げていたのは白いんげん豆だったそうですが、やがてリンゴに変わり、その後最終形態としてオレンジになりました。
オレンジ祭りにはどうやって参加できる?
オレンジ祭りには、イブレア市民以外も参加することができます。参加方法はさまざまで、好きなかたちを選ぶことができます。オレンジ祭りに参加するために、時期を合わせてイタリアに行く人もいれば、たまたまその時期に重なった幸運な人もいるでしょう。
参加する場合には、オレンジでずぶ濡れになることを覚悟し、服装や髪型、メイクに気をつけてくださいね。濡れたくはないけれど見てみたい人は、見学することも可能ですよ。
オレンジの投げ合いに参加したい場合
オレンジ祭りに、イブレア市民と同じように参加したい場合には、事前にエントリーすることになっています。しかし現状は、オレンジ祭り開催後は会場がカオス状態になり、誰が参加者かもわからない状態なので、会場に入り勝手にオレンジを投げ始める人も多くいるそうですよ。
厳重警備もなければ、完全なる自己責任での参加なので、くれぐれもケガにはご注意くださいね。
見学したい場合
オレンジ祭りを見学だけしたい場合には、安全な場所に留まっているようにしましょう。オレンジ祭りの会場には、野球場のように背の高いネットが張り巡らされています。そのためネットの外側にいればオレンジが当たるリスクが少なくなるそうです。また、会場で販売されている「ベレットフリジオ」という赤い帽子を買って身につけておくと、オレンジを当てられません。オレンジ祭りでは、このベレットフリジオを被った人にオレンジを当ててはいけないルールがあるからです。
オレンジ祭り以外のイベントのみ参加したい場合
オレンジ祭りは、イタリアのカーニバル行事の一環です。そのため、現地ではオレンジ祭り以外にもさまざまな催し物が行われています。カーニバル自体のチケットを購入するとタイムスケジュールがもらえるので、それを見ながら気になるイベントに参加してみましょう。すべて無料で参加でき、予約も不要だそうです。混み合っていることはありますが、人数制限がかかることはほとんどないようですよ。
イタリアのオレンジ祭りについて気になるあれこれ
イタリアのオレンジ祭りは、参加したことがない人にとって分からないことだらけですよね。そもそも食べ物を粗末にすることが許されているのか、危険ではないのか…さまざまな疑問を、オレンジ祭り開催レポートなどを参考に調査してみました。
興味のある人は、ぜひ読んでみてください。
オレンジを粗末にすることは許されている?
オレンジ祭りでは、大量のオレンジが投げられ無残な姿で地面に残ります。オレンジ果汁が水たまりのようになり、当然食べられる状態ではありません。しかし、このオレンジはオレンジ祭り様に生産されているもので、食べると酸味と苦みが強く、食用には向かないそうです。そのため、市民たちは安心してオレンジを投げ合うことができるのですね。
参考:Amina Flyers
ケガ人は出ないの?
オレンジ祭りで投げられるオレンジは固く、当たりどころによってはケガをする可能性があります。貴族チームはヘルメットを被りますが、市民チームは装備がないので、頭や顔に当たらないよう上手に避けたり、休憩としてオレンジが当たらない場所に隠れたりしてくださいね。
イタリアンスタイルによると、オレンジ祭りの内容とは関係ないところで、未成年者の急性アルコール中毒者が出たことがあるそうです。お参りの雰囲気にのまれ、ハメを外してしまうのも注意が必要ですね。
まとめ
イタリアのオレンジ祭りについて調査しました。見るだけで楽しい、参加するとカオス状態。そんな注目のお祭り「オレンジ祭り」は、イタリアに行けば自由に参加したり、見学したりすることができます。オレンジ祭りのほかにも、カーニバルの行事がさかんに行われていますので、時期を合わせてイタリア旅行を楽しむのも素敵ですね!